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HeNe レーザーの物理学
ヘリウムとネオンの混合ガスによるHeNeレーザー作用は、1960年にBell研究所のJavan、Bennet及びHerriottの三人により開発されました。最初の発振波長は赤外線でしたが、632.8nmの赤色発振への遷移が1962年にWhiteとRigdenにより達成されました。そしてこの波長が最も一般的で低コストのレッド発振レーザーのベースとなりました。
HeNeレーザーのヘリウムとネオンとの低圧混合ガスは毛細ガラスチューブに注入されます。混合ガスの主成分はヘリウムガスで、ネオンガスの割合は15%以下です。この割合がプラズマ現象を引き起こします。プラズマ内での自由電子との衝突による励起は、最もエネルギ準位の低い準安定状態に多数のヘリウム原子を取り込む原因となります。ヘリウムの励起状態には、ヘリウムの2つの電子の一方が最も低エネルギの原子軌道1Sから2S原子軌道に励起される21Sと23Sの2つの励起状態があります。このため、この状態を電子励起状態と呼んでいます。これに対して、ネオンは、1S0基底準位に1s22s22p4の状態で配列されている10個の電子を有し、より大きく、より複雑な原子です。ネオン原子は多くの励起状態を持ち、その内のレーザー作用に関係する励起状態が次ページにエネルギ準位のダイヤグラムとして示されています。電子的に励起された状態のネオンガスの多様な性質は、互いに他の電子を整列させることができる励起された電子の運動による幾つもの異なった手段からもたらされます。
2s及び3sのネオン原子の2つの励起状態のセットは、プラズマ放電により都合よく分布されるヘリウムガスの励起状態23Sと21Sと同じ励起エネルギで起こります。励起された原子は、プラズマ内で他の原子、電子及びチューブ側壁と衝突を始めます。励起状態にあるヘリウム電子と基底準位にあるネオン原子との衝突は、幾つかのネオン原子を2s及び3s準位に励起します。衝突によるエネルギ伝達がエネルギ保存の法則に基づく共鳴プロセスです。僅かなエネルギのミスマッチ分(この場合、約400cm-1)は原子の運動エネルギに変換されることにより補償されます。
HeNeレーザーの発振波長のほとんどは、2pシリーズの準位への遷移を利用しています。例えば632.8nmのレッドの出力は3s2→2p4の遷移により発振されます。2p状態のエネルギ準位は基底準位から150,000cm-1であるため、プラズマチューブの中においてさえ、無視できる程度の分布といえます。この結果、プラズマ放電におけるネオン原子全体の3sと2p間及び2sと2p間の反転分布は、励起されたヘリウム原子の衝突によるポンピングにより容易に維持されます。3s→2p及び2s→2pの遷移の両者がレーザー作用を引き起こします。レーザー作用にある2p状態の分布は、より低位の準位への自然放出により、すぐに消滅します。
全てのHeNeは低ゲインレーザーで、レーザー作用を達成させるために反射率の高いキャビティミラーを必要とします。特に、一方のキャビティミラーには反射率が99.9%以上のミラーコーティングを必要とします。他方のミラーにはレーザーの有効出力を取り出すために、約1%の光の逃げ(部分透過コーティングによる)を設けます。従って、キャビティ内に取り残されるビームのパワーは出力ビームの出力に比べて200倍も強烈です。
CVIメレスグリオが最初に開発した市販の543.5nm及び1.523μmのHeNeレーザーのキャビティミラーは対称構成ではありません。これらの波長でのレーザー発振は極端に低ゲインであるため、これらの波長での発振が最大効率で行われるよう、非常に高品位にデザインされたプラズマチューブを使用することが必要とされます。

HeNeレーザーの遷移におけるヘリウム原子とネオン原子の主なエネルギー準位
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